大洲の徒然話
2021.03.25

大洲、春の時間。

春の息吹と美食を愉しむ、大洲の彩をめぐる時間

うららかな陽気に誘われて、大洲の城下にくりだせば
そこかしこに春の息吹を感じる。
色めきはじめた冨士山から春風が吹き抜け、
清流肱川のほとりではウグイスが軽やかに歌う。
草花たちが待ち遠しかったと言わんばかりに、競って彩りを放つ季節。
銘菓や銘酒とともに春の息吹を感じる、季節限定の贅沢な時を過ごす。
五郎河川敷の菜の花

寒暖差による特有の気候がある大洲盆地と、その中心を堂々と流れる肱川。水郷のまち大洲にまた今年も春が訪れる。太古から変わらぬ自然の営みと、先人たちの手によって築かれてきた文化が融合し、この地でしか得られない体験を生み出す。
川舟に揺られ日本美を存分に味わう
大洲のうかいにも使われる屋形船で遊覧へ。
船着き場を離れると、まもなく崖の上にせり出す臥龍山荘の「不老庵」が現れ、川面にその趣深い姿を映す。やがて、山裾をソメイヨシノで薄紅に染めた大洲城が見えてくる。この季節にしか出会えない、美しい日本の心象を体現したような景色に、しばし心を奪われる。
五郎河川敷の菜の花
彩りを添える立役者
悠久の歴史から紡がれた建築や体験、食が花見物に彩りを添える。それぞれが五感にやさしく訴えるたび、体中にびりびりと春が駆け巡る。大人の嗜みに無くてはならぬ風情あるものたち。それは、もてなしを上質なものにしてくれる春の立役者。
大洲城
大洲城
畔に佇む見事な城郭建築は、木造復元された天守をはじめ、国指定文化財に選定された4つの櫓がある。桜の名所としても知られ、本丸には200本ほどのソメイヨシノが咲き誇る。
肱川遊覧
臥龍遊覧
心地良い春風を肌に感じながら清流肱川を屋形船で下る「臥龍遊覧」。20分ほどの遊覧では、臥龍淵と不老庵の美しい景色と、木造天守を湛える大洲城をめぐる。
和菓子
和菓子
「志ぐれ」や「月窓餅」といった大洲銘菓を携えて花見物へ。城下町で守られてきた伝統の甘味をお供に、桜を愛でるのもまた大人の贅沢の一つ。
春爛漫を感じるひととき
自然が生み出す美しき黄色やピンクの色彩に心が躍るのは何故だろうか。時に荒ぶる肱川に春をもたらすのは、一面に広がるまばゆいほどの菜の花たち。大洲盆地を一望する冨士山に連なって咲き誇るのは、春から初夏へ季節の移ろいを告げるツツジ。この地に暮らす人々が慈しむ花々に魅せられて、思い思いに散策にふける春の旅。
五郎の菜の花
五郎の菜の花
五郎河川敷と呼ばれる肱川左岸には、350万本もの菜の花が咲く広大な花畑がある。3月上旬から見頃を迎え、見渡す限りの菜の花は、さながら黄色にかがやく絨毯のよう。そこから僅かに下った先にある通称“五郎の赤橋”の傍らにも、菜の花畑が広がる。二つの菜の花畑は、大洲の春を象徴する風物詩のひとつだ。
五郎河川敷の菜の花






五郎の菜の花
冨士山のツツジ
冨士山(とみすやま)の由来は、気高き富士山に似た美しい稜線をもつことから。大洲盆地の中央にそびえる標高320メートルの山の頂からは大洲盆地一帯と大きく湾曲した肱川を眼下に見下ろせる。4月から5月にかけて、濃淡鮮やかなピンクの花が賑やかに連なる景色は、日本有数のツツジの景勝地として知られる。
酒造見学にて新酒を嗜む
新酒の報せは、春の報せ。大洲には四国山脈が蓄えた豊潤な水と、肥沃な土で育った新米で醸す、上質な地酒がある。酒蔵に足を運び、作り手の想いを間近に感じれば、新酒の若々しくみずみずしい味わいがより格別のものになるだろう。
養老酒造


養老酒造
大正10年創業の小さな酒蔵で生まれる清酒「風の里」。
すべて手作業で行う酒造りは、米本来の味わいが生きる芳醇な味わいをもたらす。西日本豪雨で甚大な被害に見舞われたが、苦難を乗り越え、より一層蔵人の腕に磨きがかかる。酒蔵では、仕込蔵にはじまり麹室や作業場、瓶詰の様子などを希少な清酒が生まれる過程を見学できる。