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食のお話
2020.02.21

大洲藩の歴代の殿様が、愛した伝統の秘蔵菓子を堪能あれ。

愛すべき、端正な銘菓

大洲藩江戸屋敷内の秘蔵菓子「志ぐれ」、二代藩主泰興公がこよなく愛した「月窓餅」、
和栗餡の味わいが奥深い「栗華の宴」。
凛とした佇まいに秘められた銘菓の魅力に迫る。


大洲藩江戸屋敷内の秘蔵菓子、ここにあり

他に類を見ない城下町大洲の伝統菓子「志ぐれ」

時は、江戸時代中期にまで遡る。大洲の代表的郷土菓子「志ぐれ」がこの地に伝わったとされる。現在も大洲で作られる知る人ぞ知る銘菓。江戸の中期より姿を変えず、今も代々受け継がれている。所謂日本の代表的な和菓子に見られる華やかな彩りはない。その中でも豊かな個性が光る。それを生み出すのは、彼らの“手業と舌”。シンプルに真っ直ぐに、業が魅せる表情の違い。ここに、志ぐれを楽しむ一つの趣がある。

 

18世紀はじめに、大洲藩江戸敷内の秘宝菓子であったものが、参勤交代で藩内に伝わったのが志ぐれのはじまりと言われる。老舗を訪ねれば、代々受け継がれた当時のレシピが大切に保管されている。

 

食感は、羊羹に代表される棹物和菓子としては珍しくもちもちしている。故に志ぐれ餅と呼ぶ人もいる。北海道産の小豆、国内産の米粉を材料に、良質な肱川の水源が一路な味を引き立てる。




お殿様だけの、本わらび餅

寛永元年より、御用菓子司が受け継ぐ「月窓餅」

江戸時代、大洲藩公の御用菓子司であり、特に、第二代藩主加藤泰興(やすおき)公の大好物の菓子であった月窓餅。泰興公が愛でた月窓餅は、彼の心向きを映し出すかのごとく、非常に繊細な一品。こし餡を本わらび餅で包み、青大豆きな粉をまぶす。およそ四百年の歳月、変わらず今も守られ続ける伝統の姿。

 

北海道小豆のこし餡、現在希少になった国産わらび粉だけを使った本わらび粉で練る餅。よく目にする葛餅と違い、黒みがかった琥珀色で、やや弾力がある。きな粉は国産の青大豆を使う。青大豆粉の挽きは甘いと青臭く、挽き過ぎると風味が活きない。水は桶で一度休ませたものを使い、一切の手間暇を惜しまず、人の手で時間をかけて漸く月窓餅となる。

 

大ぶりな品が多い上生菓子の中で、これは一際小ぶりだ。それでいて凛とした佇まい。うっすらと緑味を帯びたきな粉からは、青大豆が微かに香る。泰興公が感銘を受けた柔らかな餅の舌触り、上質な餡の甘さと青大豆の風味が混ざり合う奥深い味わい。時代を問わず、一度知ると虜になる繊細で格式高い味だ。




和栗餡の、奥深き美味を識る

大洲産和栗のみを使った芳醇な栗きんとん「栗華の宴」

栗華の宴は、栗のお膝元大洲で生まれた。大洲産和栗だけを使った新しい大洲銘菓だ。北海道産しゅまり小豆の漉餡を、純大洲産栗の栗餡でひとつひとつ餡を包み、湿らせた麻布で成形している。栗餡は二度裏漉しをしており、舌触りは滑らか。栗餡に加わったラム酒が栗の風味を一層引き立てる。

あまり知られていないが、愛媛県は栗の生産量日本第三位だ。特に大洲市の中山間地域は昼夜の温度差が大きく、赤土の土壌、降水量・気候が栗の生育条件に適していて、県内一の生産量を誇る。筑波(つくば)、利平(りへい)、倉方甘栗、銀寄、石鎚、大洲早生̶九月頃から収穫時期を迎え、秋の味覚を届けてくれる。

 

“宴”の名に相応しく、ふくよかで贅沢な味は「大人の栗きんとん」と称される。茶菓子としても、紅茶や珈琲にラム酒の風味を合わせいただくもよし。どんなお供にも合う豊かな表情を持ちながら、栗の甘さ、コクが真髄をしっかりと感じさせる。