大洲の城下町に突如として現れるレトロな空間。
そこへ行けば誰もが60年前の昭和の時代にタイムスリップできる。
週末に突如現れるまぼろし商店街一丁目「ポコペン横丁」。
その日だけは大人も童心に帰ることができる。
入口を抜けるときっと誰しもが驚くだろう。
そこには昭和の雰囲気が漂う看板や自転車が多く並び、子どもがコマやフラフープで遊んでいる。
軒下にはレトロなおもちゃや古道具が並び、懐かしい中華そばや大洲の名物グルメが食欲をそそる。
大人にとっては懐かしく、子どもにとっては新しい、そんな空間がポコペン横丁には広がっている。
ここは、大洲に残る本物の昭和レトロを楽しめる場所だ。
ポコペン横丁は3月の第3日曜日から11月末までは毎週日曜日(第2日曜日を除く)、12月から2月末までは毎月第3日曜日に開催されており、開催日には地元の家族や観光客で賑わい、誰もが童心に帰り遊んでいる。
5月の連休や秋祭りに合わせて、特別イベントも開催している。
ポコペン横丁の奥にある「思い出倉庫」にはアンティークなおもちゃや家具・家電、更には車や自転車などが所狭しと並ぶ。
当時の家庭や駄菓子屋、理髪店が再現されており、まるで昭和の世界に入り込んでしまったかのよう。
大洲に住んでいる人も、ポコペン横丁が如何にしてできたのか、知らない方が多いのではないだろうか。
ポコペン横丁のはじまりは、大洲在住の古道具やレトロなものが好きな数人であった。
ヴィンテージカーが好きな人、昔のヒーローの人形を集めている人、古雑貨が好きな人。
趣味が人を呼び、人が人を呼び、いつの間にか自分たちの居心地のいい空間を作りたいという気持ちで繋がっていった。
そして1990年代後半、おおず赤煉瓦館を昭和の雰囲気に仕上げ、ポコペン横丁の原型となるイベントが初めて行われた。
そのイベントは結果的に大好評を博し、定着化させようと声まで上がった。
当時、ポコペン横丁の場所には家具屋の跡地があり、そこに昭和の町並みを再現するイベントへと変化した。
しかし現在のような屋根付きの建物はなく、ただの広い空き地だった。
ポコペン横丁の日になると、朝の5時から倉庫から荷物を引っ張り出し、角材を建てて準備をする。
夕方になると撤収して元の空き地に戻す。
まさに月に1度姿を現す「幻の商店街」だった。
2004年にポコペン横丁に転機が訪れる。
愛媛県の南予地方で開催された「えひめ町並博」に合わせて、屋根付きのブースを常設し、毎週土日に開催しないかという話が届いた。
鍵がかかる屋根付きの小屋を設置することで、準備や片づけが各段に楽になったことでクオリティも上がり、好評の中えひめ町並博を終わることができた。
その後も、中心に飲食スペースを設けたり、ステージの設置などがあり、現在のポコペン横丁の形になった。
昭和の時代では子どもたちが近所の広場に集まり、「ポコペン遊び」をしていた。
子どもたちが喧嘩を始めようものなら近所のおじちゃん、おばちゃんに叱られていた。
そうやって、人の子だろうが関係なく地域の子どもを見守り、子どもたちは思う存分遊ぶことができた。
ポコペン横丁はそんな人情味のある横丁にしたいという想いが込められている。
そんな想いの通り、ポコペン横丁では子どもがお店のおじちゃんにベイゴマを教えてもらったり、大人の目を気にせずフラフープやシャボン玉で遊び、時には親までも子どものように遊んでいる。
そうやって遊んでいた子どもが、今ではポコペン横丁を運営する立場になっている方もいる。
そうしてポコペン横丁は今日まで受け継がれてきた。
人情味にあふれた「ポコペン横丁」、是非遊びに来ては如何だろうか?