自然

太古の昔から、人々の営みとともにあった肱川。
豊かな流れは肥沃な土壌をもたらし、緑萌ゆる自然を育んだ。
めぐる季節に呼応する、肱川沿いの景。その変化をつぶさに感じる。
肱川がつくる水郷の自然
城下町の四季
人の肘を曲げたような形になっているところが多いことから
「肱川」と名が付いたともいわれる、大洲を流れる一級河川。
その美しい曲線に沿って水は豊かに流れ
ほとりに広がる大洲盆地に多くの実りをもたらしてきた。
古来より、肱川の周りで生活を営み、肱川とともに生きる人々の
生命の源でもあるこの川の流れに、悠久の時を想う。
春はあけぼの、夏は夜、
秋は夕暮れ、冬はつとめて。
かの清少納言も「枕草子」でそう綴ったように、大洲の冬は早朝が良い。
大洲盆地の朝霧が流れる
肱川あらし
大洲盆地の朝霧が流れる肱川あらし
長浜の河口付近では、盆地にたまった空気が朝霧となり
川上を流れる自然現象が起こることがある。
秋から冬にかけて、その朝霧はまるで龍のように唸りをあげながら、町を飲み込んでゆく。
それはまさに自然現象であるが故に、肱川を流れる龍との邂逅は奇跡ともいえる。
肱川あらし
肱川あらし
朝霧がうねりながら赤い長浜大橋を吹き抜け、海へと流れていく。その神秘の朝霧は、小高い丘の上の肱川河口部を一望できる展望公園において、10月から3月頃の期間で、気候条件が揃えば巡り合うことができる絶景だ。
城下町を包む雲海
大洲の冬の風物詩が、もう一つある。
それを拝むため、早朝に宿を発ち、小高い丘へと足をのばした。
晩秋から冬にかけて見られる、雲の海。
一面に広がる雲から、山々がまるで島のように天辺だけ顔を出す。
吐く息の白さと、目の前に広がる壮大な白。
自然のスケールには叶わない、だから人は憧れるのかもしれない。
日中と朝晩の気温差が大きく、風のない穏やかな日など、気候条件が揃ったときに現れる。
10月から3月にかけて、日の出から太陽が上りきる頃までの眺め。